腎臓内科

nephrology

腎臓は体内のバランサー

腎臓とはどんな臓器なのでしょうか?「尿を作って老廃物を出す」というのがよく言われますが、正確ではありません。実は、腎臓は ①尿を作る…老廃物を出す、体内の水分や電解質のバランスを保つ ②ホルモンを出す…血圧を調節する、骨や血液の生成を促す という複数の重要な調整機能を持っており、まさに「体内のバランサー」なのです。腎臓が悪くなると倦怠感・むくみ・食欲不振・呼吸困難・高血圧・尿量の変化・吐き気や嘔吐・かゆみ・貧血といったさまざまな症状が出現し、ときには死に至ることもあります。

腎臓は、高血圧・糖尿病・肥満などの生活習慣病でも悪くなりますし、心臓や肝臓の機能低下でも悪くなります。腎炎など、腎臓そのものが悪くなっていくこともあります。誰にでも起こりうることです。早期診断と治療、生活習慣の指導などによって改善が期待できますので、ご自身で気になることがあるときには、早めに医療機関で相談・検査をおすすめします。

尿の生成腎臓は、血液から老廃物や余分な物質を濾過して尿を生成します。このプロセスは、腎単位の基本的な機能単位である腎小体と腎尿細管によって行われます。濾過された尿は、尿細管を通りながら濃縮や再吸収のプロセスを経て最終的な形態を得ます。
血圧の調節腎臓は、血液中の塩分や水分のバランスを調節し、それによって血液容量や血圧を一定に保ちます。これは、腎臓が尿中に排出される塩分や水分の量を調整することによって達成されます。
電解質のバランス維持腎臓は、血液中のナトリウム、カリウム、カルシウムなどの電解質のバランスを維持します。これによって、神経伝達、筋肉収縮、酸塩基平衡などの生理学的プロセスが正常に機能します。
酸塩基平衡の維持腎臓は、酸塩基平衡を維持し、血液中のpHを一定に保ちます。これは、水素イオンや重要な塩基である炭酸水素塩の排泄や再吸収によって調整されます。
エリスロポエチンの産生腎臓はエリスロポエチンと呼ばれるホルモンを産生し、これが骨髄で赤血球の生成を促進します。これにより、酸素運搬が改善され、全身の組織が正常に機能できるようになります。

こんな症状があったら腎臓内科を受診しましょう

  • 検診で蛋白尿や潜血尿を認めた、あるいは腎機能低下を指摘された
  • 血尿がある
  • むくみが出てきた
  • 血圧が下がらない
  • 疲労感や食欲不振が出てきた 等
蛋白尿や潜血尿を認める場合、このような疾患の可能性があります。

・糖尿病性腎症や高血圧腎症、これらが進行した慢性腎臓病
・糸球体腎炎
・尿路結石や腎結石
・腎臓腫瘍
・腎盂腎炎、膀胱炎などの感染症

治療の流れ

当院ではまず「食事・運動などの指導」「薬物療法(+内服調整)」をおこなって、病気の進行を抑え、腎代替療法が必要になるまでの期間が延びるように努めています。もし、尿量が低下→体液量のコントロールが十分にできなくなったときには、腎代替療法(血液透析/腹膜透析/腎移植)の検討をします。必要な時期にさしかかったら、必要な情報を提供し、しかるべき医療機関へつなぎます。

検診で腎機能障害の指摘がされた場合、精密検査をおこないます。

  1. 腎機能障害の原因となる生活習慣病(糖尿病/高血圧/高尿酸血症/脂質異常症)の管理をおこないます。
  2. 採血や尿検査をおこない、急性腎不全/慢性腎不全の評価をします。
  3. 慢性腎不全の場合、これ以上の腎機能の低下を防ぐため、生活指導、栄養指導、減塩・減カリウム指導、内服調整、定期的な腎機能の評価をおこないます。
  4. 腎機能が悪化して自分の体の環境を維持できなくなってしまった場合に「腎代替療法(透析等)」を相談し、情報を提供します。非導入的・緩和的な対応も含めて、透析導入病院の紹介、もしくは看取りまで継続的に関与していきます。

最期の透析「腹膜透析」とは?

腹膜透析は、腹腔内に透析液を注入し、腹膜を通じて体内の余分な液体や毒素を除去する治療法です。腹膜透析は自宅で行えることから働き盛りの年代の方が導入したり、もしくは通院が困難で最期の時間を在宅か療養病院で過ごす方が「最期の透析」として導入したりします。当院では療養病棟にて「最期の透析」を行うことができます。

下記のようなメリット・デメリットを考慮して、患者さんの適応や状態によって選択します。

メリットデメリット
血液透析透析効率がよい病院で行うため通院が必要
腹膜透析在宅・療養病院で行える透析効率が落ちる、腹膜感染のリスク