循環器内科

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「循環器」ってなんだろう?

腎臓が悪ければ腎臓内科、胃が悪ければ消化器内科、目が悪ければ眼科…。でも循環器ってどこを診てくれるのだろう、と思ったことはありませんか?「循環」とは、全身の血管を血液(体液)が巡ることです。どうやって循環させているかというと、「心臓というポンプが血圧という抵抗に抗って血管に血液(体液)を送る」という仕組みになっています。この循環に関わる全てを診るのが循環器です。すなわち「心臓」「血圧」「血管」「血液(体液)」を診ていきます。
下記に代表的な疾患を説明します。心臓や血管が悪くなるのは高血圧だけではなく脂質異常症や糖尿病などの生活習慣病も原因と考えられています。「私は高血圧じゃないから」という場合も、もし下記のような症状が出現したら循環器の受診を検討してください。

心臓の病気① 虚血性心疾患

狭心症や心筋梗塞のことをいいます。
心臓を栄養している血管(冠動脈)が動脈硬化で細くなって、栄養が行き届かず、患者さんが動くことで、さらに灌流する血液が足りなくなって、胸痛が出現することを狭心症と言います。狭心症には動脈硬化が原因の労作性狭心症と、ホルモンやストレス、喫煙、または寒冷の刺激などで起こる異形狭心症があります。
さらに完全に血管が詰まってしまう病態を心筋梗塞と言い、心筋梗塞になると、詰まった冠動脈が栄養している心筋が壊死し、心臓の機能が悪くなり、治療しないと40%が死に至ります。

当院の取り組み

当院では、心臓の動きや、心臓の血管の細くなっているところを検査することができます。(≫当院でできる検査
検査の結果、さらなる検査や手術(カテーテル検査や血管再建術)が必要な場合、当院の連携高次医療機関へすみやかに紹介いたします。下記のような症状があるなど、気になることがあればお気軽にご相談ください。

こんな症状があったら受診してね

運動で増悪する胸部圧迫感、重圧感、胸が焼けるような感じ、または首や歯が痛いと感じる方もいます。糖尿病患者や高齢者では症状がはっきりせず、息切れや動悸、全身倦怠感や食欲不振などで受診されることもままあります。

心臓の病気② 心不全

心臓のポンプ機能が働かなくなって、全身や肺に血液を送り出せなくなり、血液が鬱滞(うったい)している状態です。肺に鬱滞すると肺水腫、全身に鬱滞すると浮腫が出現します。心不全はあらゆる心臓疾患の終末像で、原因は多岐に渡り、原因疾患を精査することが大切です。一度心不全になると進行性で、増悪、寛解を繰り返しながら、徐々に悪くなっていきます。心不全になったら、次の心不全を起こさないように内服や減塩、生活習慣病の改善などの介入が必要になってきます。特に高齢者では、子供が風邪を引くように心不全を繰り返すことがあり、患者さんのみならず、介護する家族も疲弊してしまうことがあります。

当院の取り組み

循環器専門医による問診・診察・検査(≫当院でできる検査)を組み合わせ、心不全の原因を精査していきます。
原因が虚血性心疾患や弁膜症、不整脈などでカテーテル治療や手術が必要な場合は高次医療機関へ紹介いたします。手術が必要ない患者さんに対しては、強心剤や腹膜透析を含めた最大限の内科的治療を行うことができます。
心不全が進行して終末期を呈してくると、入退院を繰り返すことがあります。その際は心不全緩和ケアを導入し、最期の時間をどのように過ごしていくのか、当院の多職種チームが連携して寄り添っていきます。

こんな症状があったら受診してね

息が苦しくなる、動くと息切れがある、横になると息切れがひどくなる、ぜーぜーする、体重が1−2週間で急激に増えた、むくんできた、失神、めまいなど

心臓の病気③ 不整脈

不整脈は心臓のリズムに異常をきたす病気です。心臓のリズムは右心房にある発電所の洞結節一拍一拍電気信号を出し、その信号を洞房結節が受け取って心室の心筋へ伝わり、心臓が収縮します。洞結節の働きが悪くなったり、電気信号の伝達がうまくいかないときは脈が遅くなる不整脈が出現し、反対に洞結節が働きすぎたり、また別の場所から間違った電気信号がでたりすると脈が速くなる不整脈が出現します。運動や精神的な興奮で脈が速くなるといった自然な不整脈もある一方、病気が隠れている不整脈もあります。心配なときは、循環器内科へお気軽にご相談ください。

当院の取り組み

不整脈は発作が起きていないときは検出が難しいため、24時間心電図(ホルター心電図)や運動負荷心電図などを組み合わせて検出率を上げていきます。(≫当院でできる検査
不整脈が検出できたら、原因を検索し、抗不整脈やカルシウムチャネルブロッカー、βブロッカーなどの内服薬を導入します。またカテーテルアブレーションやペースメーカー留置術などの手術が必要になってくる場合には、すみやかに高次医療機関と連携していきます。

こんな症状があったら受診してね

動悸がする、脈が速い・遅い、眩暈、立ちくらみ 、失神、息切れなど

当院でできる検査

心電図狭心症に特徴的な心電図変化(ST変化)や、不整脈などを捉えます。ただし、安静時のみの検査で完全に狭心症や不整脈を捉えることは難しいため、24時間心電図(ホルター心電図)や、運動負荷試験などを組み合わせて実施します。
安静時の心電図検査で異常所見があるようなら、緊急性が高い可能性があり、その他の検査を急ぐ判断をします。
心エコー図検査心臓エコー検査では、皮膚に超音波を当てて心臓を観察します。超音波によって、心臓の筋肉や弁の動き、血流が正常に流れているかをみることができます。狭心症により慢性的に血流が不足している心臓では、心臓の動きが悪くなっていることがあったり、弁膜症を認めたりします。
ホルター心電図主に不整脈や冠攣縮性狭心症(異型狭心症)を疑う時に行う検査です。明け方に多い発作を捉えることが可能で、発作の時に心電図変化があれば診断をつけることができます。症状が不整脈によるものかどうかの確認をすることも可能です。
心臓CT検査冠動脈の走行、血管の狭窄を評価することができます。
心臓CTではカテーテルを使用せず、造影剤を注射することで冠動脈の評価が可能です。心臓カテーテル検査と比べより低侵襲で、体の負担が少ない検査です。≫放射線科

生活習慣病との関係

生活習慣病とは「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」 と定義されます。生活習慣病は血管を痛め、狭心症や心筋梗塞、または弁膜症、心不全の原因になります。生活習慣病や喫煙の習慣がある人は、ない人に比べて、虚血性心疾患を引き起こす危険発生率がおおよそ2〜6倍になると言われております(Anderson KM et al., Am Heart J,12. 1990より改変)。検診で高血圧や脂質異常症、糖尿病など指摘された際には、自覚症状がなくても受診をおすすめします。